DTMソロ活雑記

MAAA「Reason」2023.7.14 Release


なぜライブやフェスは「撮影禁止」?法的根拠は?

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ライブや音楽フェスでは「撮影禁止」が多いです。

最近は、撮影OKの場合もあり、むしろ撮ってSNSで拡散して貰った方が宣伝になるという考えも増えてきています。

今回は、なぜライブは「撮影禁止」が多いのかをお伝えします。

法的根拠は?

ライブの撮影禁止という法律はない

結論からいいますと「ライブの撮影禁止」という法律はありません

ただし、撮影したものを勝手にWEB上にアップした場合は「著作権」や「肖像権」の侵害となります。(個人で楽しむだけなら法的にもOK)

イベント運営規約で禁止とできる

イベントの運営規約で「撮影禁止」が記載されている場合は、主催側に対する契約違反となります。主催者はお客さんに対し「契約を守ることを要求」でき、「イベントに参加させない」ことを主張することができます。

具体的には、スタッフから撮影したデータを削除を指示された上で、強制退場させられるかもしれません。

著作権の侵害とは何か?

著作権については、文化庁HPに回答があります。
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000341

①コンサートでの写真や動画の撮影は「私的利用」であれば著作権侵害にはならない

②主催者が「会場の混乱」「商業利用の防止」「出演者から禁止を求められた」などの場合には、一般的に参加者は指示に従う必要がある

著作権としては、個人的に楽しむ分の撮影について問題ないようです。

ですが、ライブ主催者が定めたルールには従う必要があるとのことです。「撮影が邪魔」「シャッター音が気になってライブに集中できない」「無断でYouTubeにアップされる」「容姿が重要なアーティストの場合、変な撮られ方をして価値に関わる」など、考えられることはたくさんあります。

ライブ主催者は、お客さんに満足して貰わないとイベントが継続できません。なので、お客さん全員に楽しんで貰う方法、ルールを考えます。その中で、トラブルの可能性が大きい「撮影」は禁止にしておいた方が余計な問題を起こす可能性自体を消滅することができます。また、問題解決にあたるスタッフの人力も消費せずに済みます。

アーティスト側の考えで「撮影してSNSにアップして宣伝して貰った方が良い」という考えも多くなってきており、とても良いことだと思うのですが、撮影OKと、禁止が入り混じった場合、必ず守れないケースが出てくるので、イベント主催側としてはとても難しいところだと思います。

「ちょっとくらい良いのに!」

正直な気持ちだと思いますし、よく分かります。

ですが、一部の人が著作権侵害をしてしまうケースが出てくる可能性がある以上は、イベント運営上、禁止せざる得ないのかもしれません。

肖像権の侵害とは何か?

まず「肖像権」は、法律で明文化されている訳ではなく、「判例上」認められている権利です。

侵害の範囲は状況に応じて変わるそうで、調べてみたところ主なケースは次の通りでした。

・書面or口頭で撮影の同意があればOK
・写り込んでいるが個人の特定ができない場合はOK
・お祭りなど、公の場所、行動の撮影はOK
・撮影された方が社会生活上マイナスにならなければOK

これを音楽ではどう当てはまるのか、
日本音楽事業者協会の啓蒙ページが分かりやすいです。


上記サイトによると、

・勝手に写真や動画をインターネット上にアップすると、例え友達でも肖像権の侵害となる。

悪意がなくても勝手にWEBにアップしたことで、アーティスト側から訴えられたとしたら、そのケースに応じて金額が請求される可能性があります。

実際には、お金儲けのための利用するなど、相当悪質なケースでない限り訴えられる可能性は相当低いのかもしれませんが、訴えられないからといっても侵害には変わりありませんので、許可がない限りネットへのアップは避けましょう。

イベントの運営規約違反

繰り返しになりますが、イベントの運営規約で「撮影禁止」が記載されている場合は、主催側への契約違反となりますので、お客さんは注意されても、強制退場させられても、何も言えないのです。

「海外では良いのに」

「最近は撮影OKが多いのに」

どんな理由があっても、規約で決まっている以上「規約に納得できないなら参加しないでください」という対応になるのです。

撮影OKに向かう傾向も

アーティスト側も撮影&拡散にメリットを感じて、撮影OKの例も多くなっています。

法的には、アーティスト側とイベント主催側が「撮影OK」といえば、それで良いので、ワンマンライブだと良いかもしれませんが、音楽フェス規模になると、様々なアーティストや会社が関わってくるので、まだしばらくは一律禁止、とするしかないのかもしれません。

ただし、撮影OKは、法律改正しないと不可能、とかではないので、時代の流れで今後は撮影OKが広まっていくかもしれません。

最後に

ライブ中は、ライブに全力で浸った方が楽しいです。

でも、この楽しさを思い出すきっかけとして、ちょっとした写真や動画があると鮮明に思い出せますし、なんとも言えないところです。

海外では撮影OKが主流らしいので、日本でも今後は撮影OKが広まっていく可能性が高いかもしれませんが、この撮影の可否については賛否あるのが現状です。

時代と共に楽しむ手法が増えるのは良いことですが、全員が楽しめるルールを考えることについて、イベント主催者側は、相当な苦労をされていると思います。

そこで考え抜いて決まったルールが運営規約ですので、撮影禁止でもしっかり守ってライブを楽しみましょう。