
現代において、ボーカルのピッチ補正されていない曲はほとんどないと言われています。
老舗プラグインであるオートチューン、メロダイン、そして最近はDAWにも標準で付属する時代です。
ただ、やっかいなのは100%直すと本来の良さまで失ってしまうことです。
今回は、この扱いの難しいボーカルのピッチ補正について、どこまで直すのが正しいのか、お伝えします。
音の揺らぎが感動を呼ぶ
音程とタイミングを100%、バッチリど真ん中に合わせてボーカル補正したとします。
まずこれは、音楽的に間違いありません。
音程とタイミングが合っていれば、きっとそれは不快な音ではないはずです。
ただし、やっかいなことに「音の揺らぎ」こそが人が感動するポイントなのです。
音楽的には正解、だけど、感動ポイントとして重要な揺らぎ成分も失われます。
揺らぎの残し方に問われる芸術性
揺らぎが感動を呼ぶと言っても、過剰な揺らぎは、不快なボーカルとなってしまいます。
この辺りの調整に、芸術性が問われてきます。
寿司にワサビをどれくらい入れるのか、そんな職人のイメージかもしれません。
ミスチルのSTAYという曲のサビは、ピッチ的には上ずっている。だが、それが感動を呼んでおり、これを良しとしたプロデューサーの好判断について、関ジャムで紹介されていました。
ピッチ「補正」であることを忘れない
ピッチ補正ソフトと呼びますが、その名の通り、足りないことを補うツールであること。それを忘れないでください。
ガチガチ100%直して、ケロケロボイスにして音楽的に活用する例もありますが、
あれはあえて揺らぎを消し、個性を消すことで、独特の世界観を創っているのです。
また、本来ボーカル志望ではないが、色々な事情により自分自身がボーカルをとる場合もありますし、性質や歌手スキルより、声を楽器の一部として扱いたい場合は、ガチガチ系で直すのも全然アリです。
ピッチの補正や修正は悪ではない
普段聴く曲の声が直されている現実を知ると、なんとなく騙されていたような気分になる場合もあるかもしれません。
それはきっと「ガーター防止の柵を出したボウリングでとったストライク」みたいな感覚ではありませんか?
僕はピッチ補正は、モデルさんのメイクに似ていると思います。
どんなに美しいモデルさんでもノーメイクでメディアには出ませんよね。(最近はスッピン公開ブームもありますが)
この辺りの感覚は、曲作りをしたことがないと分からない部分もあるのですが、補正がちょっと卑怯な手法だと思ってる方がいましたらそれは誤解ですのでここでお伝えしておきます。
最後に
ここ10年ほどで一気にピッチ補正ソフトが普及したと感じます。
僕自身も、ピッチ補正ソフトの恩恵なしに、自分で歌うことはなかったと思っています。
ちなみに僕は「ボーカルは楽器の一部」派ですので、ガッチリ直し、曲は良いけどボーカルで不利益とならない音源作りを今は心がけています。
聴かれる方が不快な思いをしないように、と思ってますが、それでもなかなか本当に難しいのがボーカルMIXです。
だからこそ芸術性、アート性が問われるところですので、個性を出すか、消すか、あなた自身が良いと思う価値観で、ピッチ補正と付き合っていってくださいね。