人は不思議なもので、大好きな音楽を表現するためにステージに立つのに、いざその場面となると緊張するものです。
今回は、緊張の克服に悩んでいる方へ、絶対に緊張しない方法をお伝えします。
緊張の原因を知る
「緊張」とは何か
緊張を克服するには、まず緊張の原因を知ることです。なぜ人は緊張するのか。
その前に、普段何気なく使う「緊張」という言葉。
改めてみると「緊張」って何でしょうか。goo辞書によると次の通りです。
「緊張」
きん‐ちょう〔‐チヤウ〕【緊張】 の解説
1 心やからだが引き締まること。慣れない物事などに直面して、心が張りつめてからだがかたくなること。「緊張をほぐす」「緊張した面もち」
2 相互の関係が悪くなり、争いの起こりそうな状態であること。「緊張が高まる」「緊張する国際情勢」
3 生理学で、筋肉や腱 (けん) が一定の収縮状態を持続していること。
4 心理学で、ある行動への準備や、これから起こる現象・状況などを待ち受ける心の状態。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E7%B7%8A%E5%BC%B5/
ポイントは
・慣れない物事などに直面して、心が張りつめてからだがかたくなる
という意味です。
慣れない物事に直面することで、不安状態となり、緊張するのです。
「緊張」は自己防衛機能
人に備わった自己防衛機能が「緊張」です。
なぜかというと、慣れないことで失敗することは、昔の時代で言えば生死に関わることだったからです。
例えば、武器を持って狩りをするとします。そのとき、武器の扱いが不慣れな状態だと、狩りに失敗して自分が死んでしまうかもしれません。
これが現代だとしても、人前で失敗することは自分のマイナス評価となり、不利な状態に陥ります。また、単純に悪口を言われるのではないかという恐怖もあります。
「こんな状況は危ない!今すぐストップせよ!」と、脳が判断すると、自己防衛機能が働き、緊張という拒否反応が出るのです。
緊張を克服する方法
脳が「安全な状況」と思えばいい
緊張しない方法は、実はシンプルです。
脳が安全な状況だと判断すれば緊張しません。
例えば、家の布団で寝るときに緊張する人はいないと思います。
家族とご飯を食べる時にも緊張する人はいないと思います。
なぜ緊張しないかといえば「安全な状況だから」です。
緊張を克服するには、安全な状況を作ればいいのです。
ライブの「危ない要素」
ライブで緊張する場合は、ライブが危ない状況だからです。
安全な状況にする方法を考えましょう。
そもそもライブには、どんな危ない要素があるのでしょうか。
例
・演奏やMCで失敗したらどうしよう
・どんなステージ、楽屋だろう
・どんなスタッフや共演者がいるんだろう
・お客さんがいなかったらどうしよう
例として4つ出してみました。これらの危ない要素を潰していけば、理論上からも緊張しません。
ライブを「安全な状況」にする
ではライブを危険から安全に変えていきましょう。
先程の要素を全て潰すには、ライブを完璧にシミュレーションすることです。
完璧なシミュレーションを行うことで、当日の本番でも、脳が「あ、これ知ってる」と思うので不安がなくなり、緊張は生まれなくなります。
具体的には、本番と全く同様の流れで練習することです。
まずは1曲ずつ完璧に
練習はまずは曲単位で行います。
1曲ずつ、完璧にします。
完璧と言っても基準は人それぞれなので、1つ完璧な状態のイメージをお伝えします。
完璧な状態とは「無意識な状態でも演奏ができる」ことです。
「ここで次のあれがこうで…」と考えながらではありません。
自転車を漕ぐとき、足が勝手にグルグルと動く、これくらい無意識に演奏ができることです。
そのためには、繰り返し、繰り返し、練習するしかありません。
本番と全く同じ流れをシミュレーション
次に、ここが大事なのですが、本番同様の流れでシミュレーションをします。
間、MCも含めて、とにかく本番と全く同じことをやります。
例(ライブ前)
ステージ上で機材セッティング
↓
一度、控え室に戻る
↓
SEが鳴り、ステージに出ていく
↓
楽器を背負う
↓
ライブ開始、1曲目を演奏
↓
1曲目終了、ショートMC「北海道から来ましたTHE DTM BANDです!よろしくお願いしま〜す!」と言って4カウントで2曲目へ
(続く...)
このように、本番と全く同じようにシミュレーションをします。
MCの内容までしっかり決めます。
ミュージカルの主役になったつもりでやってください。
バンドのライブだからMCは適当で良いなんてことはありません。MCを含めてライブです。
ただし、MCは必須ではありません。苦手で雰囲気を壊してしまうくらいなら、MCはなくて良いですし、ホームページの案内や、曲のリリース情報の告知だけでも良いと思います。
ライブが終了し、ステージ片付けまでをシミュレーションします。
これを1サイクルとして、この「総練習」を最低5回以上繰り返し行います。
そして、それら全てをスマホで録画しておきます。
自分で観て、思い通りになっているか、毎回チェックし、問題点を潰していきます。
もう一度言いますが、これらをセットで最低5回以上練習します。
1つのライブが30分だとして、最低でも3時間くらいでしょうか。
誰でも確保可能な時間だと思います。
これだけでも全然違いますが、これでも緊張を克服できない場合は、まだ自分自身が納得できていない証拠ですので、納得できるまで10回、20回と、数を増やすことです。
5回と示した理由は、1回で問題点が見つかり、2回目で改善しつつもまだ問題点があり、3回でなんとか通せることができ、4回目は少し余裕が出て、5回目が1番良い状態では、と考えたからです。
おわりに
地道に練習しなければならない人がいる中で、元々全く緊張しないという方もたくさんいらっしゃいます。
羨ましい限りですが、緊張しないから良いライブかと言えばそこは一致しません。
緊張という敵に対しての付き合い方、自分なりの戦い方を身に付け、最高のライブをしてくださいね。