一本wavDJって知っていますか?
例えば自分のDJ持ち時間が60分だとして、あらかじめ60分のMIXを作成し、それを再生し、後はパフォーマンス(当て振りを含む)をするDJのことを言います。
1つのwavファイルだけを再生することから、一本wav(いっぽんわぶ)と呼びます。
禁じ手とも表現される一本wavですが、果たしてこれは悪いことなのでしょうか?
今回は、一本wavについて考えてみました。
通常のDJと何が違うのか
通常のDJは、1曲1曲、次の曲はフロアや全体の流れを勘案しながら、駆け引きしていきます。
対して、一本wavDJは、あらかじめ出来上がったMIXをポチッと再生し、あとは終了まで、DJしている振り、いえ、パフォーマンスに徹してお客さんを盛り上げます。
楽しいのは通常プレイ
DJをしていて楽しいのは、絶対に通常プレイです。
今日はイマイチ盛り上がらないな→じゃあこの曲はどうだっ、と
選曲したものがその日の客層にヒット!大盛り上がりに発展!
こういった快感、楽しさは1本wavでは感じられないのではないでしょうか。
一本wavはLIVEに近い
当日のお客さんの入りや客層というのは、当日のその時間まで正確に分かりません。
また、前のDJがどういった曲をプレイしているか、なども当日まで分かりません。
そのような中、決め打ちしたMIX(一本wav)をプレイするのです。
選曲被ってもいい、お客さんが何人だろうと1人でも楽しませる、DJ作業を正確にやるよりも、パフォーマンスでお客さんを楽しませよう、もしくは自分の最強MIXで自分が音に浸りたい踊りたい
一本wavには通常のDJプレイとは違った楽しみ要素があり、DJというよりかはLIVEの感覚に近いです。
EDMフェスでは一本wavが合う
EDMフェスは、オリジナル曲で勝負しているアーティストが出演するので、一本wavでのLIVEがすごく合います。
まさしくDJ機材を使用したLIVEです。
同じDJ機材を使っていても、通常DJ型とLIVE型があるから紛らわしい
オリジナル曲で勝負しているLIVE型であれば、一本wavでがっつりやるのが良いです。
こちらの場合、主導権はDJにありますので、がっつり上げたり、落としたり、かなり自由です。
オリジナル曲を持たないDJであれば、当日のフロアの雰囲気が大事なので、一本wavは合わない気がします。
フロアの主導権はお客さんにあり、DJの選曲により盛り上がりのレベルを徐々に誘導、調整するイメージでしょうか。
テクニックを磨いているDJからすると違和感のある一本wavDJ
現場の感覚を鍛えた熟練のDJであるほど、一本wavDJに違和感があるのは仕方ないことです。
スタイルが違いすぎるのですから。
でも、自分が楽をしたいのではなく、「お客さんを楽しませる」ことを考えた結果、リアルタイムの要素よりも「MIXの質」を重視した、という結果かもしれません。
お客さんが楽ませるアプローチが違うだけですので、別の世界、手法だと割り切った方が良いです。
おわりに
一本wavDJには賛否ありますが、答えはありません。
そのイベント内容や、自分のスタイルに合わせて選べば良いと思います。
個人的には
クラブDJとして勝負するなら通常プレイが合っており、
オリジナル曲やリミックスをメインで勝負するアーティスト型なら一本wavでのプレイががしっくり来ると感じました。